1日限定両想い
好きかどうか分からない。
私たちの始まりは、そんなところからだった。
それでもいいと言ってくれた青波さんの懐の深さに私はずっと甘えてきた。
祖父、祖母、そして菊池先生。
様々な別れを経て無気力に過ごしていた私が、ひとりにならずに済んだのは青波さんのおかげだ。
「ごめんなさい。当たり前になりすぎて、言葉にしてなかった。」
『いいんだ。聞けて嬉しかっただけで、心詠はただ傍にいてくれれば。』
「青波さん。」
泣き出しそうな表情のままの青波さんに、もう1度ちゃんと伝えなければいけない。
青波さんはいつだって優しいけれど、本当はずっと不安に思ってくれていたんだ。
私が青波さんを好きでいるのか。
今、誰を想っているのか。
「私、青波さんが好きだよ。」
『ありがとう。』
ぐっと手を引かれて、そのまま胸に吸い込まれた。
こんなにも私を想ってくれる人が、今傍にいること。
そのことが、夢のように思えた。