1日限定両想い

2人でひとつのベッドに入って、胸に顔を寄せる。

髪からは同じシャンプーの香りがして、パジャマからは同じ柔軟剤の香りがした。



『あのさ、心詠。』

「なに?」

『一緒に住みたいな。』

「どうしたの急に。」

『なんとなく。』


なんとなくにしては大きな提案だと思いながらも、まどろみ始めた思考の中でいいなと考える。

本当は誰かと一緒に暮らすことの意味なんてまだ何も分かっていないけれど、すぐ傍に好きな人がいることの幸せは充分に分かっていた。



『じゃあな。』

「送ってくれてありがとう。」

『また夜連絡するわ。』

「うん。青波さんも気をつけて。」


翌朝、自宅前まで送ってくれた青波さんと別れるとそのまま自室のベッドに潜り込んだ。

また夜連絡するという言葉に胸を高鳴らせながら、陽の高い時間の贅沢な二度寝に落ちていった。


だけどその日、青波さんからの連絡がくることはなかった。



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