1日限定両想い
「喋ってるって、その、変なことじゃないで。」
『先生たちって、結構簡単に生徒の個人情報とか話すんですね。』
「教師間で情報を共有してるだけちゃうか。」
ぽつりとこぼされた言葉はやけに距離を感じさせて、ひとくくりにされた"先生たち"に俺まで信用していないと言われた気がした。
ふと視線を落とすと手の中の麺が伸び始めていて、沈黙を破るように麺をすする。
「俺はそこに当てはまらんけどな。」
『え?』
「教師間の"間"。俺はいつも除け者や。」
なぜひとくくりにされたことが気になったのか。
なぜ自分もその中の1人になるのが嫌だと思ったのか。
『じゃあ菊池先生は何も聞いてないんですか?』
「あぁ、何もな。俺はそういうの…教師が首突っ込みすぎんのってどうかなと思うから。」
『やっぱり菊池先生は菊池先生ですね。』
「ん?」
その言葉の意味はよく分からないけれど、安心したように笑った須崎にほっとしている自分がいた。