1日限定両想い
青波さんが待ってる?
駐車場へ辿り着く前にスマホを見たけれど連絡はない。
よく迎えに来てくれるけど、連絡なしで来たことは初めてだった。
「青波さん。」
『心詠。』
先輩の言葉通り青波さんは車の運転席にもたれかかっていた。
久しぶりに会えた喜びで寂しさが一気に埋まっていく。
『お疲れ様。ごめんな急に。』
「ううん。来てくれて嬉しい。」
『ちょっとドライブ行くか。』
助手席に乗ると、爽やかなミントの香りに懐かしさを感じる。
青波さんの車はいつも清涼感のある上品な香りに包まれている。
『なかなか連絡できなくてごめん。』
「気にしないで。お仕事大変だったんでしょう?」
『うん…まぁ。』
答えを濁すような声に、一瞬緊張が張りつめる。
この前からそうだ。
何かを隠しているような、歯切れの悪さ。
『ちょっと気になることがあってな。しばらく時間取れないかもしれない。』
「そう…なんだ。」
またしばらく会えなくなる。
それも次は2週間どころじゃなくて、もっと長いような気がした。