1日限定両想い
知られたくないのだろうか。
須崎は、自分のことを。
「これ、うまいわ。」
『本当ですか?良かった。』
ポテトサラダを食べて素直に漏れた感想に、須崎は嬉しそうに笑った。
こうして話していると、どこにも何の問題もない普通の生徒のように思う。
知られたくないことを隠しているからかもしれないが。
竹石先生や新田が気にして見ているのなら、俺はそのまま、普通の生徒だと思ったそのままでいようと思った。
本人が助けを求めているわけではないなら放っておけばいいと、あのとき俺は言った。
その自分の言葉をひとり心の中で訂正する。
放っておけばいいのではなく、見守っていればいい。
『お湯、ありがとうございました。』
「あぁ。」
『また来てもいいですか?』
「ええけど…いつもいるわけちゃうから。」
『そっか。そうですよね。』
「でも昼休みやったら。だいたい、ここにおるから。」
少し残念そうに部室を出て行こうとした須崎の背中に声をかけたのは無意識だった。
だいたいここにいるなんて嘘だったけど、これからそうすれば嘘にはならないだろう。