1日限定両想い
「許してもらえるなんて思わへん。お前にそれだけの想いをさせてしまったこと、ほんまに申し訳ないと思ってる。」
『許すも何も、俺はただ自分がやりたいようにやってきただけですから。菊池先生に何か背負わされたとは思ってませんよ。』
今更須崎と会いたいなんて許してもらえるわけがないと思っていたが、新田はそんなことを言った。
その優しさが沁みるというよりも刺さって、返す言葉を失くす。
『明日、心詠がこっちに来ます。』
「え?」
『何も言わずに新幹線のチケットだけ渡してあるんです。昼間は普通にデートするんで、夜だけ空けておいてください。』
それだけ言うと、新田は荷物を持って立ち上がった。
まっすぐに玄関へ向かう背中を慌てて追う。
『昼間の内に部屋の掃除しといた方がいいんじゃないですか。』
「新田、」
『安心してください。付き合ってはいましたけど、そういうことは…ちゃんと守ってますから。』
もう俺の方など振り返らずに玄関を出ていく新田の背中を、黙って見送ることしかできなかった。
渡された想いを、絶対に無駄にしてはいけない。