1日限定両想い

『だって菊池先生は私から離れたくて大阪に…』

「それは違うってずっと言ってきただろ?」

『でも連絡だって取れなかったし卒業しても会いに来てくれなかった。』


やっぱり心詠は、卒業すれば菊池先生に会えるという可能性を捨てきれてはいなかった。

こんなに忘れられない者同士がずっと離れ離れだった現実に、なぜかふっと笑みがこぼれた。


あまりにも、俺の入る隙がなさすぎて。



「菊池先生がバカみたいに不器用なことは、俺たちが1番知ってるだろ。」

『そうだけど…』

「もう先生と生徒じゃない。菊池先生と心詠は、堂々と2人で会っていいんだよ。好きでいていいんだよ。」

『でもそんなの青波さんに』

「悪いとか思わなくていいから。」


謝られることが1番つらかった。

俺はただ、自分の気持ちにしがみついてきただけだ。



「心詠のことが、本当に好きだった。でも一緒にいればいる程、苦しいことも事実だった。」

『青波さん…。』

「ごめんな。最後まで勝手で。」


菊池先生への気持ちに気付いていながら無理に付き合わせたのは俺だ。

だから、さよならも俺から、

俺から…



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