1日限定両想い
まず2年2組の教室へ向かったが誰もいなかった。
須崎の席には教科書が入っているから、早退したわけではないだろう。
担任の新田が聞いているかもしれないと新田が授業をするクラスへ向かう途中、菊池先生と呼ばれた。
「里谷先生。」
『良かった~ 須崎さんのこと伝えようと思ってグラウンド行ったのに先生いないから。』
声をかけてきたのは養護教諭の里谷(サトヤ)先生だった。
俺より2年先輩の穏やかでおっとりした女性だ。
「須崎、どうしたんですか。」
『体調が悪いってお昼休みに来たの。本人は行くって言ったんだけど私はもう少し休んでた方がいいと思って、伝えにきた。』
「そうですか。」
聞きたいことは沢山あったが、それ以上に顔が見たいと思った自分に驚いた。
でも今は授業中で、生徒たちが待っている。
「じゃあ俺授業なんで。」
『連絡遅くなってごめんなさい。須崎さんの方は私がちゃんと見てるから。』
里谷先生の言葉に、自分が思ってるよりも心配が顔に出ていたのかもしれないと思った。