1日限定両想い
腕の中から、静かな泣き声が聞こえた。
あのとき手放してしまったこと。
勝手に姿を消したこと。
一方的に連絡を断ったこと。
当時は全て正しい判断だと思っていた。
でも今、心の底から沸き上がってくるのは後悔ばかりだった。
『会いたかったよ…先生…』
「あぁ。」
『会いたかった…』
こんなにも俺を頼ってくれる、求めて泣いてくれる、たったひとりのこの子を手放してしまったこと。
ひとりにしてしまったこと。
…2人に、してしまったこと。
『だから今日、青波さんとお別れしてきた。』
頭の中で"青波さん"と新田が繋がるまで間が空いた隙に、須崎が腕をすり抜ける。
その一瞬でさえ再び離れてしまうことが怖くて、とっさに手を掴んだ。
「どこかでゆっくり話そうか。」
『はい。』
ひとりで去っていった新田のことも、離れていた間の須崎のことも、話したいことは山程あった。
握った手から伝わる温もりに、須崎への想いが溢れて止まらなくなる。