1日限定両想い
「明日、何時に乗るんや。」
須崎が作ってくれた夕食を食べながら、これからのことを考えていた。
須崎は明日東京へ帰る。
今後のことを話し合うには残り時間が少ない。
『えっと、何時だったっけ。』
「覚えてないんか。」
『帰り際に青波さんに渡されたから、ちゃんと見てなかった。』
バッグを引き寄せて財布からチケットを取り出した須崎が、えっと声を出す。
とっさに顔を上げた俺に、そのままチケットを差し出した。
「これ、明後日やん。」
『ですよね。』
「あいつ…。」
束の間しんとした沈黙が落ちて、どちらからともなくふっと笑い合った。
1日一緒に過ごせる時間を作る為に、わざわざ明後日のチケットを取っていたのだろう。
その優しさが、苦しい程に深く俺たちの心に刺さった。
「どっか行きたいとこあるか。」
『…ない。ただ一緒にいて、話したい。』
「うん。」
温かいご飯が、冷え切っていた部屋と身体に染み渡っていくようだった。