1日限定両想い

「明日、何時に乗るんや。」


須崎が作ってくれた夕食を食べながら、これからのことを考えていた。

須崎は明日東京へ帰る。

今後のことを話し合うには残り時間が少ない。



『えっと、何時だったっけ。』

「覚えてないんか。」

『帰り際に青波さんに渡されたから、ちゃんと見てなかった。』


バッグを引き寄せて財布からチケットを取り出した須崎が、えっと声を出す。

とっさに顔を上げた俺に、そのままチケットを差し出した。



「これ、明後日やん。」

『ですよね。』

「あいつ…。」


束の間しんとした沈黙が落ちて、どちらからともなくふっと笑い合った。

1日一緒に過ごせる時間を作る為に、わざわざ明後日のチケットを取っていたのだろう。

その優しさが、苦しい程に深く俺たちの心に刺さった。



「どっか行きたいとこあるか。」

『…ない。ただ一緒にいて、話したい。』

「うん。」


温かいご飯が、冷え切っていた部屋と身体に染み渡っていくようだった。



< 240 / 250 >

この作品をシェア

pagetop