1日限定両想い
『ねぇ新田先生。』
「はい。」
『須崎さんの事情って、どれだけの先生が把握してるのかな?』
「それは…」
俺は竹石先生から聞くまで何も知らなかった。
須崎という生徒のことも、ちゃんと分かっていなかったくらいだ。
「俺は担任なんで聞いただけで、去年担任だった竹石先生くらいじゃないですか。」
『そう。じゃあ竹石先生から聞いた新田先生と私くらいなのかな。』
「だと思いますけど、どうかしたんですか。」
『さっき菊池先生に話そうとしたら怒られちゃった。教師間でもそういうことはペラペラ話さない方がいいって。』
脳裏によぎったのは、俺が竹石先生から聞いたと言ったときの須崎の顔だった。
はっきりと嫌な気持ちになったことが分かる、あの拒絶したような。
「そうかもしれないですけど、菊池先生はただ単に興味がないだけじゃないですか。」
『そうなのかなぁ。協力者は多い方がいいと思うんだけど。』
2人の視線がベッドを覆うカーテンに向かった。
須崎がどんな想いを抱えていて、どれだけの助けを必要としているのか、俺たちには何も分からない。