1日限定両想い
翌日、須崎は何事もなかったように登校してきた。
顔色ももう戻っているし、体調の悪さは感じさせなかった。
『桜木先輩!』
午前中最後の授業を終えた2年2組に桜木が顔を出して、真っ先に見つけた女子生徒が嬉しそうな声をあげた。
まぁイケメンだしな、空手部主将だしな、モテるよな。
『何してるんですか?』
『須崎さん探しに来たんだけど。』
そんなくだらないことを考えながら教室を出ようとした足が止まった。
『いないと思いますよ。あの子いつもお昼休み入った瞬間消えるんで。』
『どこでお昼食べてるか知らない?』
『知りませんよー。いつも1人でいるし、謎なんですよね。そんなことより私たちと一緒にお弁当食べましょうよ。』
『ごめんね、また今度。』
後輩の誘いを軽く受け流して桜木は教室を出て行った。
その背中を追う。
「廊下は走るなよー。」
『新田先生。』
立ち止まった桜木の手には弁当が入っているであろうバッグが握られている。