1日限定両想い
「須崎探してるんだって?」
『はい。新田先生知らないですか?』
一緒に食べたいんだろうな、可愛い奴だなと軽く考えていた思考が止まる。
桜木の表情が少し強張っていたからだ。
「知らないけど、どうした?」
『いや…なんでもないです。』
「桜木。」
桜木は何か話そうとしたけれど結局言葉を引っ込めた。
俺が知らなかっただけで、俺の知らないところでいろんな人が須崎に対する想いを抱いていた。
「前に中庭で食べてるとこ見たけど。」
『行ってみます。ありがとうございます。』
走り出した桜木に今度は走るなよと言うこともできなかった。
なんなんだよ、本当に。
俺だけが一向に距離を詰められない。
「…あれ?」
なんとなくその後が気になって中庭を覗くと、桜木が1人で弁当を食べていた。
購買で買ったパンとコーヒーを持って中庭へ出ると、いつもより数段覇気のない桜木が顔を上げた。