1日限定両想い
桜木と話し終えて職員室へ戻ると、今日も菊池先生はいなかった。
少し前までは毎日目の前でカップ麺をすすっていたのに。
『私があんまりうるさく言うから嫌になったのかな、菊池先生。』
「そんなことないと思いますよ。」
ちょっと不安そうな竹石先生の言葉を笑いながら否定していたら、ふとある場所が浮かんだ。
部室。
須崎に入るかと聞いた、元部室。
なんとなく気になって職員室を出ると、昨日も須崎を見つけたその場所へ行ってみた。
いきなり訪ねるのも変だよなと思いながらもドアの前に立つと、中から微かな話し声が聞こえてきた。
明らかに菊池先生1人ではない。
誰のものかまでは聞き取れないけれど、誰のものかは聞かなくても分かった。
菊池先生が職員室でお昼を食べなくなったのはいつからだったか。
1人の生徒とあまり深く関わらない方がいいと言ったあの日からか。
放っといたれや。
少し乱暴にも聞こえる関西弁が、頭の中でずっと繰り返し流れていた。