1日限定両想い
「興味がないとか、知らんくてもいいとかじゃない。俺かてそれなりに須崎の…生徒のことは気にしてる。」
いつの間にか空っぽになっていたカップを机に置き、ちゃんと向き合った。
「でも須崎が、俺が何も聞いてないって知って安心したみたいやったから。そやったらそのままでいてやったほうがええのかと思って、それで。」
『菊池先生…。』
「気にはしてるけど無理に聞こうとも思わへん。でもまぁ、何かあったら言えよ。」
弁当を握ったまま俯いている須崎の横顔に髪が落ちて、その表情を隠した。
不意に流れた沈黙に鼓動が速まる。
『こんなこと、先生に話してもいいのかな…。』
「え?」
『先生に話して…』
「須崎。」
思わず立ち上がって、そのまま立ち尽くした。
気のせいじゃなく震えている声が、肩が、あまりにも頼りなくて。
伸ばそうとして思い留まった手が空をさまよう。
「いつでも何でも言うたらええ。」
何かを堪えるように固まっている須崎から、もう言葉は返ってこなかった。