1日限定両想い

須崎が元部室に来なくなって2週間以上が過ぎた。

授業には変わらず出席しているし、体調を崩している様子もない。

竹石先生や新田から名前をあまり聞かなくなったことも、穏やかに日々が流れている証拠だった。

部室に来ないのも、とくに話したいことがないからだろうと思っていた。



『菊池先生。』


帰宅しようとしていたところに新田が声をかけてきて、なんとなく並んで歩き出す。



「なんやねん。」

『いや、別に…。』

「気持ち悪いな、この前から。」


俺に何か話そうとしてやめるということを、最近繰り返している。

聞きたいことがあればはっきり聞けばいいのに。



『菊池先生、お昼どこで食べてるんですか?』

「どこでもええやろ。」


同じようなやりとりを、いつかしたような気がした。

どうせ本当に聞きたいことはこんなことではないのだろう。



『たまには一緒に食べましょうよ。』

「気持ち悪いこと言うな。」


どういうつもりか知らないが新田が何か探ろうとしていることは確かで、逃げるように学校を出た。



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