1日限定両想い
「そうですよね…。」
『悪い。知られたくなかったやろ。』
知られたくなかった。
でも不思議と嫌だとは思わなかった。
あれだけ変なところを見せてしまったのだから、説明しない方が不自然だ。
「私の方こそごめんなさい。」
『須崎はなんもしてへんやろ。』
「変なところを見せてしまって…。私がもっとちゃんとしてれば、菊池先生に迷惑かけずに済んだのに。」
『あのな、須崎。』
謝ったときよりももう一段低くなったトーンで菊池先生が言う。
その真剣さから目を逸らしてはいけないような気がして、お弁当を置いて視線を合わせた。
『迷惑って、なんや?』
「それは…私が何も言わなかったら菊池先生は何も知らなかったし、関わらなくて済んだのになって思ったら、申し訳なくて…。」
『お前と関わることが俺の迷惑になるとでも?』
本当は痛いくらいにそう思っているのに、頷くことができなかった。
ぶっきらぼうな言い方とは裏腹に、菊池先生の表情がとても優しかったから。