1日限定両想い
『お前は謝ってばっかりやな。』
「え?」
心の中を見透かされたみたいに同じことを言われて驚いた。
『ごめんなさい、ごめんなさいって。そんな謝ることがどこにあんねん。』
「どこにって、沢山…。」
『お前は何も悪いことなんかしてへん。その口癖やめろ。』
長い時間をかけて固くなっていた心が、少しずつほぐれていく気がした。
菊池先生と話せば。
菊池先生といれば。
「お前。」
『ん?』
「菊池先生の口癖。」
『あ、悪い…気つける言うたのに。やっぱり言うてるな。』
本気で焦り出した菊池先生に、ふっと笑みがこぼれた。
気をつけてくれなくてもいい。
その不器用さに触れる度に安心することができるから。
「何も気をつけてくれなくていいです。」
『お前な…。あんまりそういうこと簡単に言うなよ。』
また同じようにお前と言っていることに気付いて、菊池先生が頭をかきむしる。
その姿がなんだか可愛くて、気付けばまた笑っていた。