1日限定両想い
「いや、ほら。去年担任だった竹石先生からちょっといろいろ聞いてて。それで…」
その姿になぜか胸が騒いでとっさに説明したけれど、表情が和らぐことはなかった。
むしろ今度は少し嫌がっているように見える。
なんでそんなこと勝手に話してるのという竹石先生への思いと、あなたもあなたでなんでそれを私に言うのという俺への思い。
余計なお世話だ、迷惑だ、そう思っていることが伝わってくる。
素直だな。
その分かりやすい反応に、大人びて見えた雰囲気も綺麗な顔立ちも嘘のように子供っぽく思えた。
「ごめん。余計なお世話だったな。」
『いえ、大丈夫です。』
「でも本当に何かあればいつでも」
『ありがとうございます。』
今度は最後まで言う前に逃げられてしまった。
そんなに警戒することだろうか。
頼れる大人が近くにいるんだったら頼ればいいのに。
このときの俺は、きっと本当に余計なお世話だったんだろうなと思うだけで、それ以上須崎のことを深く考えようとしなかった。