1日限定両想い
着替えを持って行って、ご飯を食べさせてあげて。
仕事が終わった後に毎日のように。
それがどれだけ大変なことなのか、母は弱音なんてまず吐かない人だから私には分からない。
代わってあげたいと思っても、車の運転ができない私じゃ何の助けにもならない。
「気をつけてね。」
『ありがとう。あ、そうだ。』
だから家の中のことは。
祖母のことは、私がちゃんと看ていてあげたい。
そんなことを考えながら玄関まで母を見送りに行くと、なぜか少しいたずらっぽく笑っていた。
『この前の菊池先生、良い先生ね。』
「なに?急に。」
『あの人いつもあんな怒ってるみたいな顔してるの?普通にしてればシュッとしてるのに、もったいない。』
「うーん。確かにそうかもね。」
2人でそんなことを言って笑い合った。
自分がどれだけ大変なときも、母はいつも私に笑いかけてくれる。
『まぁお母さんはイケメンの新田先生の方がタイプだけどね。』
「えぇ、イケメンかなぁ。」
私の言葉に母はまた笑って、玄関を出て行った。