1日限定両想い

「私は大丈夫なんで、先輩も何も気にしないでください。」

『うん。』


先輩はまだ何か言いたそうだったけれど、結局何も言わずにお弁当を食べた。

その気遣いに甘えて、私も何も言わなかった。



『おう。』


お弁当を食べ終えて校内へ戻るドアを開けたところに、新田先生が通りかかった。

手には食べかけのパンが握られている。



『先生立ち食いかよ。』

『あっちからもこっちからも呼ばれるんだよ。人気者は忙しいよなぁ。』

『自分で言うなって。』


楽しそうに笑う2人のやりとりをただ聞きながら、昨日母がタイプだと言った新田先生の顔をさりげなく見上げる。

繊細なフレームの眼鏡がよく映える、小さくて整った顔立ち。

入学式のときに母親たちの方が色めきたっていたのを今頃思い出した。



『桜木~。』

『はーい。先生じゃあね。須崎さんも。』


どこかから先輩を呼ぶ声がして先輩が駆けて行ってしまうと、そこに新田先生と2人になった。



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