1日限定両想い
どう答えることが正解か、必死で頭を働かせる。
本気か?冗談か?
いや、立場を考えれば冗談にするしかない。
「何言うてんねん。」
『…そうですよね。』
だけど須崎が分かりやすく傷ついた顔をして、一瞬心が揺れる。
そりゃあ放っておけない。
でもそれは教師としてであって…
じゃあ、守ってやりたいと思うこの気持ちはなんだ。
頑なに誰にも頼ろうとしない須崎を、守ってやりたいと思ってしまった。
この、俺が。
『これ、大丈夫です。』
「須崎、」
『ありがとうございました。』
「待て。」
連絡先を突き返して出て行こうとした須崎の腕を掴む。
沈黙が、気まずい空気が俺たちの間を漂う。
「これは持っとけ。」
『でも…』
「ええから。持っとけ。」
好きになるとかならないとか、そんなこと以前に須崎には頼れる人が必要だった。
『好きになってもいいんですか?』
「好きにせえ。」
俺が応えなければいいだけだ。
そう言い聞かせて、ぐっと拳を握った。