1日限定両想い
『またパンですか?』
「すいません。」
『菊池先生はまたカップ麺。』
そう、菊池先生はいつもカップ麺を食べている。
職員室のポットからお湯を入れて。
「さっき生徒がお湯貰えなかったって言ってましたよ。」
『生徒はあかんに決まってるやろ。』
「すいません。」
竹石先生の柔らかい空気も菊池先生には関係ないようだ。
本気でもうちょっと人と打ち解けようとした方がいいと思う。
言えないけど。
「あ、さっき須崎と話したんですけど。」
『そう。どうだった?』
「逃げられました。」
竹石先生は、須崎とどのように接していたのだろう。
俺に任せるようなことを言ったからには、それなりに深い関係性があったはずだ。
でも須崎からはそんなことは感じられなかった。
『本当は今年も私が受け持てたら良かったんだけど…。あまり干渉するのも良くないだろうから。』
「でも大丈夫そうですけどね。しっかりしてそうだし。」
軽い気持ちで言った言葉に菊池先生が視線を上げたので、慌ててパンを詰め込んで立ち上がった。