1日限定両想い
のそのそと起き出して机の引き出しを開ける。
そこにはたくさんの薬が入っている。
同じく不眠に悩む母と一緒に病院へ行ったのは1ヶ月ほど前だった。
処方された軽い睡眠導入剤を母はちゃんと毎日飲んでいるようだ。
私は結局1度も飲まないまま、引き出しの中にそのままの状態で残っている。
その薬の束の下から、そっと1枚の紙を取り出す。
雑に切り取られた紙切れは、今の私にとってお守りのような存在だった。
登録したけれど、まだ1度もかけていない電話番号。
本当につらくなったら、本当に限界がきたら、そのときにかけようと思っていた。
菊池先生は、私が苦しいときにいつもそこにいてくれる。
誰に頼ればいいのか分からないときに、いつもそこにいて包み込んでくれる。
そんな菊池先生を先生として信頼しているのか、それともそれ以上の感情があるのか、いつしか自分の中で分からなくなっていた。
でも菊池先生が好きにしろと言ってくれたから、何も考えずに流れに任せることにした。