1日限定両想い

『うちの生徒がご迷惑をおかけしたみたいで。』

『本当だよ。ちゃんと指導してるの。』


私の印象では、新田先生は他の先生たちからの信頼も厚い。

でも原先生はあまり信用していないみたいだ。



『申し訳ありません。でも、ひとつだけ訂正させてください。』

『え?』

『須崎は真面目な子です。』


そんなことを考えて思考だけでもこの状況から逃げようとしていたら、その一言に気付くのが遅れた。



『課題はすぐにさせますので。ほら、行くぞ。』


新田先生はそれだけ言い置くと、さっと私の腕を掴んでその場を離れた。

まさに今から課題をさせにいく、原先生にはそう見えただろう。

私も引っ張られるように歩きながらそうだと思っていた。


つい最近もこんなことがあったな…

もつれそうになる足を必死に動かしながらそんなことを考える。


私の腕を取ってあの部屋まで連れて行ってくれた菊池先生。

今もそこにいるはずの菊池先生のところへ行きたいと思った。



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