秘密の片想い

 代理店営業とは、会う機会はほぼない。
 そう思っていたけれど、三嶋は幾度となくタケウチ保険事務所に顔を出した。

 武内所長と前から懇意にしていたらしく、ちょくちょく顔を出す。
 話さない時の方が多いけれど、視界に入って心をかき乱される。

「志穂さん」

「はい。なに?」

「志穂さんって、三嶋さんと同期だったんですってね」

「なによ。突然」

 お客様がいない窓口で、真里奈から話を振られ、苦笑する。

「三嶋さんがいると、目で追っています」

 そんなわけない。
 そんなわけ……。

「馬鹿言わないで。背が高いから、目立つじゃない。彼。だからよ」

「それだけですか?」

「そう。それだけよ。それだけ」

「じゃ、紹介してください」

「えっ」

 息を飲んで、思わず真里奈は見つめる。
 彼女は長い髪をふんわりと、後ろへ流して言う。

「いいですよね? ちょうど今日もいらしてましたし」

「え、ええ。もちろん」
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