秘密の片想い
ランチをご一緒したいと言われ、昼前に三嶋に声を掛けようと話がまとまった。
三嶋の横で、楽しそうに彼を見上げる真里奈が勝手に頭の中で浮かんでは消える。
真里奈を見つめる三嶋も、楽しそうに笑っていて。
「志穂さん。お昼ですよ」
真里奈に声をかけられ、ぼんやりしていた頭を覚醒させる。
いけない。なにを馬鹿な……。
心の中で自分を叱責していると、真里奈は着々と行動に移す。
外に出ようとしている三嶋にも、真里奈が声をかけた。
「三嶋さーん!」
声をかけられた三嶋は振り向いて、目を丸くしている。
紹介なんて必要ないじゃないと、人懐っこい真里奈に苦笑する。
呼ばれた三嶋はこちらへゆっくりと歩み寄ると、私たちの前に立った。
「えっと、なんだったかな」
唐突に呼ばれ、戸惑っている三嶋の顔を上手く見られない。
真里奈が三嶋とお近づきになりたいんだって、と言えばいいのかなと思案していると真里奈が口を開いた。
「一緒にランチでもどうですか」
「あ、ああ。もちろん」
三嶋の声が嬉しそうに少しだけ高くなったのを、なんとなく落ち着かない心持ちで聞く。