秘密の片想い

 付かず離れずの関係は、丸々3年近く続き3年目の終わりがけ。
 次第に、寒さが和らぎを見せる3月。

 その日は早期退職者の送別会があり、有給休暇を使うからと、3月の初旬に開かれた。

 どこの部署も同じような会が開かれていて、帰り道で三嶋の部署の人たちと遭遇した。

 三嶋は何人かの同僚といて、かなり酔っているようだった。

「あー。シーだ」

 指を指し、さも面白いものでも見つけたようにケタケタ笑う。
 それから、ピタリと笑うのをやめると、真面目腐った声で言った。

「すみません。俺、帰ります」

 同僚たちに敬礼して見せて、笑われている。

「なんだよ。三嶋も所詮、彼女かよ」

 勘違いしていそうな同僚たちを尻目に、三嶋は楽しそうに私に手を差し出す。

「ほら。行こう」

「熱いねー!」

 冷やかされているのに、三嶋は気にも留めずに私の手をつかんで歩き出す。
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