秘密の片想い


「それがさ、俺、あんなに酔ったの久々で、ものすごくいやらしい夢を見てさ」

「ヤダ。なにそれ」

 ハハッと笑う三嶋の声が、遠くに聞こえる。

「しかも、すごく生々しくて。なんか、本当、現実みたいな。しかも、シーが」

「もう電話で、すっごくセクハラだよ。これ」

「あ、悪い。そうだよな。ごめん」

 じゃ、また。
 そう言って、電話は切れた。

 どうしよう。忘れていればいいのに。

 鮮明に思い出してしまった。
 彼の息遣いに、彼の切なそうな表情。
 それに甘い囁き。

 好きだ、シー。
 愛してる。
 綺麗だ。
 シー、愛してるよ。

 そんなの全部、彼の中では夢の仕業なのに。
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