秘密の片想い
食事をどうしようか悩みつつも、買い物に行くわけにもいかない。
自分自身も疲れが出たようだ。
こっくり、こっくりしていると、部屋の扉が開いて肝を冷やす。
向こうも今にも飛び退きそうな勢いで、後退りをした三嶋が目を剥いていた。
「シー……だよな。夢、じゃなかったのか」
頭をかき、依然として荒い息遣いはつらそうだ。
「熱がまだ高いんじゃない? 大丈夫?」
「ああ。うん。悪い。迷惑、かけたよな」
「ううん。私こそ、莉乃のインフルエンザをうつしちゃったみたいで」
「そっか。莉乃ちゃんの」
三嶋が莉乃のことを『莉乃ちゃん』と呼ぶのが、どことなくくすぐったい。
「悪い。小さい子がいるのに、俺の世話まで」
「だから、私たちのせいだから」
「私たち、か」
小さく呟いた三嶋は、トイレに起きたみたいでトイレの方へ姿を消した。