秘密の片想い

 小さくなる三嶋がなんだかおかしくて、「こっちにおいでよ」と手招きする。

「いや、うん。腹は空いてない? シーもなにか食べたほうがいい」

 三嶋が立ち上がると、変な感じがする。

 やっぱり体が大きいから存在感がすごくて、うちのキッチンに三嶋が立っている絵面がどうしてか笑えてくる。

「なに? 俺、変な発言した?」

「ううん。うちに三嶋がいるなあって」

「ああ、まあ。俺は俺ん家にシーがいるなあって実感できないまま、帰られたな」

 ぼやくように言われ、口を噤む。

「いや、非難したわけじゃないよ。ただ」

「ただ?」

「いや、今は飯を食おう」
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