秘密の片想い
「シーが心配だったのも、もちろんあるけれど」
なにかを言い淀んで、言葉を切る三嶋が続きを話し出すのを、緊張しながら待った。
「あの日、なにがあったか知るために、ここに来た」
ほとんどお互いにわかっている答え。
その答え合わせに来たというの?
「知らない方が、いいこともあるよ」
私が小さく言った声は震えて、格好がつかない。
「それでも、知りたいんだ」
三嶋は私の頬に手を伸ばした。
私が体を縮めると、その手は遠慮がちに頬に触れた。
そして耳を包み込むように、添えられ、引き寄せられる。
「志穂」
あの日も、夢でも、呼ばれたことのない呼び方で呼ばれ、心を揺さぶられる。
「愛してる」
夢の中で聞いた、ずっと聞きたかった言葉を現実で聞き、胸を焦がす。
抗えなくて、私は目を閉じた。
ゆっくりと唇が重なって、確かめ合うようにキスをする。
キスをするたびに胸の奥がキューッと苦しくなって、彼にしがみついた。