秘密の片想い
彼は慈しむように、私の顔にかかる髪を後ろに流して、囁く。
「可愛くて、仕方ないよ。夢じゃないのが、こんなにも嬉しい」
それでも彼はなにかを思い出すように、確かめるように、あの日、私に触れたのと同じように私に触れていく。
あの日と違うのは、たまに私の手を取って、彼の頬に手を当てさせた。
そして見つめ合う。
それは、夢ではなく、現実だと刻むように。
「病み上がりで、体、まだつらい?」
唇が触れ合いそうな距離で質問をされ、唇にかかる息がくすぐったい。
恥ずかしくて顔を背けたいのに、包み込むように頭に手を当てている彼の元からは逃げられない。
「薬がすごく効いたみたいで、今はつらくは、ないよ」
「それじゃ、もう少し触れていい?」
「それは……」