秘密の片想い

「怜生って、呼んでよ」

 耳を甘くかじられ、嬌声が漏れる。
 呼んでと言っておいて、言わせるつもりがないのか、彼が触れる刺激に声にならない声が漏れる。

 体を捩っても、身動いでも、彼は私を離さない。

「早く、呼んで」

 誰のせいで呼べずにいるのか。
 文句さえ声にならない。

「いじ、わる」

 かろうじて憎まれ口をたたくと、彼は妖しく微笑んで私の中に侵食していく。

「やっ、待っ」

 何度も反芻してしまっていた、彼の切ない表情を間近でみて、胸の奥が疼く。
 短く熱い息遣いが、私の体にかかる。

「シー。愛してる」

 何度も夢に見た声を聞いて、彼の体にしがみついた。
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