秘密の片想い
秘密
目が覚めると、いつもの光景だった。
莉乃が先に起きていて、いい子で一人遊びをしている。
ご飯、作らなきゃ。
そう思い体を起こそうとして、怠さに気づく。
風邪、というか、インフルエンザ……。
じゃなくて!
勢いよく体を起こしても、いつもの光景は変わらない。
三嶋は……いるわけないか。
なにを期待していたんだろう。
めくるめく夜を過ごし、彼の中で謎が解けた。
それで、彼は満足したのだろう。
今の私が、彼に選ばれるわけがないんだ。
子どもが嫌い、なんだから。
さめざめと泣く母の隣で小さな娘は、キャッキャと言いながら手を伸ばした。
「莉乃、大好きだよ」
莉乃を引き寄せ、腕に抱いた。