秘密の片想い
 
「ここは事務所で、向こうが窓口です」

 彼の方を見ないように細心の注意を払いつつ、事務的に説明していく。

「ありがとう。ところで、今晩飲みに行こうよ」

 人がいないのを見計らったかのように、同期としての言葉遣いと態度へと戻された。
 それでも私は、素知らぬ顔で変わらぬ態度を突き通す。

「いいえ。予定がありますので。それに三嶋さんはこの後にも代理店営業として、別の代理店にも出向かなければならないのでは?」

「そりゃないよ、シー。せっかく久しぶりに会えたのに」

 心底残念そうに言われ、心がさざめく。


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