秘密の片想い

「どうして、そうなるんだよ」

 悲痛な声が転がり落ちて、しばらくの沈黙が降りた。
 その沈黙を破ったのは、三嶋だった。

 その一言は、思わぬ一言だった。

「俺、子ども好きだよ」

「嘘」

「昔の彼女に、確かに……言われたようなことされたけど、子どもが嫌いだから嫌だったんじゃない。彼女の無責任な行動とか、俺を信用していない考え方とか、そういうのが嫌だっただけで」

 再びの沈黙。
 それから、三嶋は改めて口を開いた。

「そっか。それで、俺の前から姿を。なんて俺は馬鹿なんだ、俺は」

 なにかを言いかけて、口を噤んだ。
 三嶋は目を伏せ、飲み込んだ言葉は口に出さなかった。

 たぶん、別の用意された台詞を話すように、彼は努めて冷静に話した。

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