秘密の片想い
月日は流れ、莉乃は3歳になった。
「こら! 莉乃! パパも!」
見つかっちゃった。
同じ表情で顔を見合わせる、そっくりな2人に苦笑する。
今日は友達を招いてのパーティーで、その食事を2人はつまみ食いしていたのだ。
「もう莉乃は女の子なのに、食いしん坊なところは誰に似たのかしら」
ため息混じりにこぼすと、準備を手伝ってくれている瑠夏が笑う。
「そりゃパパに似たんでしょ。隠すなんて無理ってくらい、見た目も三嶋に瓜二つじゃない」
莉乃がパパ、つまり三嶋に似てると言うと、喜んで大騒ぎするから、あまり言わないようにしている。
あの日、三嶋と話し合いをした日から、毎日のように三嶋はアパートにやってきた。
泣かれようと拒否されようと、根気強く三嶋は莉乃と接した。
一言、「だって俺の子だよね?」そう言えばいいところを、三嶋は言わなかったし、私もその点には触れなかった。
そして、三嶋の中で莉乃との関係がきちんとするまで、彼は私に指一本触れなかった。
そのせいか、未だに彼と2人っきりになると付き合いたての恋人同士のような雰囲気で、一緒に暮らしているというのに緊張する。