イルカ、恋うた
確かに、とは思った。


お父さんのとこでも、刑事や部下が必ずいて、帰宅しても、門の前だけと言っても、警官がいる。


いくら、警護だと言っても、疲れるよな。


「じゃ、三人で気晴らし……」


「しっかり、傍にいて、しっかり守れ。何かあったら、すぐに連絡しろ。あ、ちゃんと場所伝えろよ。そしたら、すぐに急行できるとこに移動するから」


岩居さんは、そう言うと、改札を潜った。


たく、あの人はいつもいつも強引な……


「竜介!」と、美月は窓を開けた。


「何?」


「どうしてこんな所にいるの?管轄から離れているじゃん……あ、もしかして、誰かと会ってた?」


佐伯検事正が昔、担当してた事件を調べてたことが、罪悪感で答えられなかった。


「……そうなんだ。ねぇ、誰?……まさか、女の人?この間の人!?」


美月は頬を膨らませた。


それでも、俺は無言で運転席に座った。


確かに女の人だった、とは思ってた。


エンジンをつけた瞬間、後ろのドアが開き、彼女は降りた。


「え、ちょっと」という間もなく、助手席のドアが開き、美月は座った。


「こっちがいい」


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