イルカ、恋うた
『自分で買い、祈ると、願いが叶うよ』
ああ、そうか。
自分で買わなきゃ意味ないのか。
じゃあ、おばさんの“頑張れ”って?
先を読む。
『好きな人に貰えたら幸せ!その人と両想いになれるよ』
『これはジングス。好きな人に貰えた場合、付けてくれたら、両想いの意味だよ』
――これ?
「……」
俺はため息一つ、上着のポケットにしまった。
それから、すっかり落胆した美月を連れて、あの場所へ向かった。
ラッコが見たい、と言ったわりに、そこで笑顔を取り戻した。
光彩を放ち、水を弾いた尾が泡を作る。
二頭のイルカが、いつかのように、輪舞する。
「恋人同士よ」
美月は開口一番に、そう言うと、反応を待つように、こちらを見る。
「どうでもいいよ。性別だって、素人じゃ分かんない……だっけ?」
「もう!」
彼女は頬を膨らませた。
いつもなら、拗ねたり、怒られたりすると、正直悩むんだけど…
今は何だか可愛い。
「そうだよ。きっとね」と答え直した。
そして、かつての父の言葉も言った。
「歌っているんだ」
美月は、「うん」と笑顔で、イルカ達を見つめてた。
ああ、そうか。
自分で買わなきゃ意味ないのか。
じゃあ、おばさんの“頑張れ”って?
先を読む。
『好きな人に貰えたら幸せ!その人と両想いになれるよ』
『これはジングス。好きな人に貰えた場合、付けてくれたら、両想いの意味だよ』
――これ?
「……」
俺はため息一つ、上着のポケットにしまった。
それから、すっかり落胆した美月を連れて、あの場所へ向かった。
ラッコが見たい、と言ったわりに、そこで笑顔を取り戻した。
光彩を放ち、水を弾いた尾が泡を作る。
二頭のイルカが、いつかのように、輪舞する。
「恋人同士よ」
美月は開口一番に、そう言うと、反応を待つように、こちらを見る。
「どうでもいいよ。性別だって、素人じゃ分かんない……だっけ?」
「もう!」
彼女は頬を膨らませた。
いつもなら、拗ねたり、怒られたりすると、正直悩むんだけど…
今は何だか可愛い。
「そうだよ。きっとね」と答え直した。
そして、かつての父の言葉も言った。
「歌っているんだ」
美月は、「うん」と笑顔で、イルカ達を見つめてた。