イルカ、恋うた
俺は、この穏やかな水色とイルカの姿、その中での彼女の笑顔に、事件も桜井検事のことも、全て忘れてしまいたいと思った。
いや、本当に忘れてしまったのかもしれない。
気が付いたら、先ほどのお土産屋の小袋を取り出してた。
一瞬、ハッとしたが、結局中身を手に取った。
そして――
ずっと、水槽に向いている女性の背後に立ち、首に鎖をかけた。
ちゃら、と鎖が鳴り、鎖骨の間でイルカが揺れた。
「へ?」
美月は、そのイルカを凝視してる。
「ほら、着いた」
と、俺が離れると、彼女は指でイルカを撫でる。
「ありがとう、竜介。大事にする」
お礼の言葉を聞くと、少し距離を置いた。
そして、背を向けた。
そうしたのは、迷いと緊張があったから。
これから、いう言葉に―…
「り、竜介?」
美月の困惑したような声がする。
「……それ、歌の代わり。俺、音痴だから」
照れ隠しのつもりで、頭の後ろで手を組んだ。
「……どういう意味?」
やべ、マジで顔見られないし、答えられない。
考えてくれよ、と思った。
「ねぇ、どういう意味?ねぇ、竜介」
いや、本当に忘れてしまったのかもしれない。
気が付いたら、先ほどのお土産屋の小袋を取り出してた。
一瞬、ハッとしたが、結局中身を手に取った。
そして――
ずっと、水槽に向いている女性の背後に立ち、首に鎖をかけた。
ちゃら、と鎖が鳴り、鎖骨の間でイルカが揺れた。
「へ?」
美月は、そのイルカを凝視してる。
「ほら、着いた」
と、俺が離れると、彼女は指でイルカを撫でる。
「ありがとう、竜介。大事にする」
お礼の言葉を聞くと、少し距離を置いた。
そして、背を向けた。
そうしたのは、迷いと緊張があったから。
これから、いう言葉に―…
「り、竜介?」
美月の困惑したような声がする。
「……それ、歌の代わり。俺、音痴だから」
照れ隠しのつもりで、頭の後ろで手を組んだ。
「……どういう意味?」
やべ、マジで顔見られないし、答えられない。
考えてくれよ、と思った。
「ねぇ、どういう意味?ねぇ、竜介」