イルカ、恋うた
うまく、説明はできないんだけど……


不安を隠してるというか、無理してるっていうか。


そんな状態で会いに来るなんて、しかも絵を見たいなんて……


彼女の悩みはきっと……


「お父さん?」


「え?」と、彼女は顔をあげる。


「……お見舞いに行くんだよな。その前に会いに来るなんて、何か聞いてほしいことでもあるんじゃないのか?」


静かに頷く、彼女を連れて、公園に行った。


芝生と針葉樹が広がり、遊具なんかはない。


その芝生や植え込みの間を走る通路は、校庭等と同じ砂で整備され、運動をする人も多い。


だから、公園というよりは、広場と言った方がいいかもしれない。


ベンチなんかが見当たらないので、他にも座ってる人がいたので、芝生で話すことにした。


美月を座らすのは、まずいかと思い、下にタンクトップを来てたので、パーカーを脱いで、敷いた。


「いいよ。汚れちゃう」


遠慮する彼女を手を引いて、座らせた。


間もなく、美月は横の俺の肩に、ちょこんと頭を寄せた。


「やっぱり、竜介は優しいね。だから、大好きなの……」


それから、ぽつりぽつりと話す。


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