イルカ、恋うた
また、リボンのイルカのページを開くと、先ほどよりもしっかりしてた。


あれ、と思い、裏側を見た。


「……あ」


――いつの間に


パーカーを脱ぐ時、裸になるわけじゃないけど、女性の前だからと、少し背を向け、離れた。


その時しか考えられない。


「ネクタイ……」


自分が昔書いたイルカを撫でた。


絵自体が、二分の一に切って、入るA4サイズのファイルだったから、一つのページに入らない。


美月のことだ。並列に入れなかったのは、きっとそれじゃ意味がないからだろう。


互いに背け合うイルカを眺め、ひどく憂鬱になった。







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