イルカ、恋うた
一昨日、取り調べた強盗犯の被疑者は、検察庁へ送致となり、同行することになった。
担当検事は、桜井だった。
取り調べの後、話がしたいので、残ってくれと命じられ、俺は渋々従った。
あくまで個人的だ、と言い、事務官も払った。
が、「彼が犯人でしょうね」と唐突に問われた。
でしょうねも何も、彼は自首してきた。
しかも、凶器の包丁を持って。
血痕も傷口も一致した。
それは当然、桜井検事も知っている。
「調書読まれましたよね?」と訊いてみた。
「ええ、もちろん。ただ、過去に強盗強姦未遂罪で、裁判まで持ち込み、後に虚偽自白させられてた、という事件もありましたから」
証拠を持っての自首は多くない。
誰かをかばっての行為だと言いたいのだろうか。
それにしたら、彼の猜疑の目は自分にのみ向けられているような…
しかも、こういった話は、担当刑事にするもんだよな。
何か別の意味があると思った。
「……何が言いたいんですか?」
「いえ、起訴しておいて、後から不起訴になんて、本当に難しいものなので、ちょっと慎重にね」
担当検事は、桜井だった。
取り調べの後、話がしたいので、残ってくれと命じられ、俺は渋々従った。
あくまで個人的だ、と言い、事務官も払った。
が、「彼が犯人でしょうね」と唐突に問われた。
でしょうねも何も、彼は自首してきた。
しかも、凶器の包丁を持って。
血痕も傷口も一致した。
それは当然、桜井検事も知っている。
「調書読まれましたよね?」と訊いてみた。
「ええ、もちろん。ただ、過去に強盗強姦未遂罪で、裁判まで持ち込み、後に虚偽自白させられてた、という事件もありましたから」
証拠を持っての自首は多くない。
誰かをかばっての行為だと言いたいのだろうか。
それにしたら、彼の猜疑の目は自分にのみ向けられているような…
しかも、こういった話は、担当刑事にするもんだよな。
何か別の意味があると思った。
「……何が言いたいんですか?」
「いえ、起訴しておいて、後から不起訴になんて、本当に難しいものなので、ちょっと慎重にね」