イルカ、恋うた
初恋、ねぇ。

あったかなぁ…


教室の窓から空を見上げた。


雲の塊が泳いでる。


「イルカ……」


「え、何?なごり雪の?」

「ああ?…違うよ。何でもない…」


あの子、元気かな?

綺麗になってんだろうな…


いっぱい恋して、水槽の前で一度しか会ってないガキなんか忘れて…


顔を思い出そうとしても、どうしてもポニーテールのシルエットしか出てこなかった。


ま、初恋なんて、そんなもんだ。


木田がふと言った。


「なぁ、進路どうする?」


俺は前々から決めてたことを、話してみた。


「警察学校に行こうかと思ってる」


「へー……ええ!?」


木田は目を見開いた。


「珍しくはないだろ。マスコミ関係って言うお前の方に、俺はびっくりしたけどね」


彼の予定は、まず大学に通い、父親の知り合いの出版社にバイトとして、雇ってもらう。


そこから、ステップアップしていこうと言う計画らしい。


「お前が警察官になったら、内部情報とか聞き出して、スクープ取っちゃうのもいいか」


たく、自分の都合じゃねぇか。
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