イルカ、恋うた
「警視庁捜査一課の係長だけでなく、検察官からも釘を刺されたよ。これ以上、首を突っ込んだら、切られるかもね」


「でもさ、はっきりしたよな。やっぱり組んでいたんだ。シナリオは協力のもとで、出来上がった」


「だけど、証拠はない。それに、検事が入っているとは限らない。

検察官が釘を刺してきたのは、終わった事件を、今更不起訴にするのは、難しいからだ。

何より、メンツ。自分達が間違えたことを、認めたくないだけで、捏造を隠すためじゃないかも」


俺がそう言うと、木田は否定する。


「正しい、本物の調書を検事が持っているとしたら?
過去にも、似たような事件があった。

犯罪者となった警察官を隠すため、罪自体を隠蔽した。

だけど、露呈した時、検察官が捜査さた際に、本当の供述調書、証拠書類が出てきたってケースがある。

今回は、それを検察官がしてるのかも。本当の書類は隠して保存しているかもしれない」


今度は俺が否定する。


「お前はその書類を見たわけじゃないだろう。憶測に過ぎない。あまり勝手なことを、軽々しく口にするな!」


気が付けば、声をあらげてた。



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