イルカ、恋うた
「即興な憶測ですが、もしかしたら、野村巡査を殺したのは、少年ではないか、と。

彼は仲間殺しを責められ、あの公園で争いになった。そして、所持してたナイフで刺した。

発見されたのは、サバイバルナイフです。ヤクザ関係の事件では、あまり見かけません。

ずっと疑問でした。あれは、大概若い子が使用してました。公判では相手にされませんでしたが……。

銃も奪った。銃は使用された形跡がない。彼もそこまでの勇気はなかった。ヤクザなら、そんなことはない」



「だけど、発見されたのは、御崎の部屋。いくらなんでも、鑑識課までは、ごまかせないでしょう。

彼らは頭がいい分、プライドもある。そこまで、上に協力は……それに、身内だって、信用しませんよ。

捏造に関与させるなら、それなりに人数も範囲も絞るはず」



「プライドが一番高いのは、上層部ですからね。……水島君、大丈夫ですか?」


伊藤弁護士の言葉に、反応ができなかった。


どこかで、もう関わりたくないと思っている。


そして、またどこかで、真実を知りたいと希望してる。


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