イルカ、恋うた
「彼女はタクシーで、僕が送りますよ。何だか顔色が優れておられない」


白々しさが鼻をついたが、反論することはできない。


図星だったから。


「竜介?」


美月がこちらに手を伸ばそうとしたので、


「じゃあ、桜井検事。よろしくお願いします」と言い、退いた。


最後に見たのは、泣きそうな彼女の瞳だった。


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