イルカ、恋うた
ベッドから二段ベッド。


趣味だったサッカーから、バレーと武道。


もちろん、変化はこれだけでない。


一般教養だけでなく、法学、警察実務、術科まで修得しなければならない。


勉強はこれ以上したくないな。

…なんて俺の考えは改めなければならなかった。


ベッドの下段で、ほぼ毎日憂鬱だった。


一ヶ月は外出許可も出ず、起床から就寝、食事まで号令。


食堂で、集団で食事することに関しても、なかなか慣れなかった。


ただ、人付き合いが苦手でも、自然に話相手ができた。


同室の人や、食卓が一緒になった人、様々な出身地で、数人から方言も習った。


徐々に、この学校生活も悪くない、と思えるようになった。


バレーボールや健脚大会も、身体を動かすことが元々好きだったので、苦にはならなかった。


あっという間に、卒業試験を迎える九ヶ月目。


小学校の六年間や、中高学校の各三年に比べると、本当に早い。


俺はまた、憂鬱になった。


実はこの頃、養父母の元にある連絡があったらしいが、俺が聞いたのは、もう少し後だった。


当然、俺は全く何も知らず、勉強の合間に、ある手紙を読んでいた。
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