イルカ、恋うた
『御崎氏の弟は、行方知れずのまま。捜査も進展していないそうです。

このまま、動きがないのであれば、また違う被疑者を捜査、監視するそうです。

ちなみに、御崎も弟からは連絡がもう何年もないそうです。自分も心配だと。私には嘘は吐かない人ですから、信じます。

彼自身は、柔和に雰囲気も変わっていました。それから、昔の真実などどうでもいい。どのみち、人とは思えない行為をしてきたのだから。

たとえ、冤罪が確定しても、自分は誰も恨まない、と言ってました。また、連絡しますね』



人は変わるか……


曾流会の首領は、本当に最期になって、仏心が生まれたのかもしれない。


メールを閉じた直後、携帯が鳴った。


表示は『佐伯美月』


実は、履歴にも残ってた。


数回かかってきたのを、俺は無視してた。


そして、これも無視することにした。


携帯を枕元に放置し、起き上がった。


懐柔しやすい、目撃者。


もし、本当にそうなら、偽証罪。


それはこの元ホームレスにかかる。


言わされた、となれば、黒幕の捏造が発覚。


虚偽公文書作成の罪か、金が動いていれば……賄賂、証拠隠滅……


一度は切れた携帯が、また鳴る。


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